藤田医科大学 がん医療研究センター

センター紹介

センター長からの挨拶

佐谷秀行センター長

この度がん医療研究センター長を拝命することになりました佐谷秀行(さや・ひでゆき)と申します。センターをこれから運営するにあたり、3つのIをビジョンとして進めていきたいと思います。

3つのI(アイ)
① Integration(統合):藤田医科大学には既に先端的ながん研究を行う基礎の講座と、最新の医療を提供することで多くのがん患者さんの命を救ってきた臨床科が存在します。それらを双方向性に繋ぎ、がんを撲滅するための一つのシステムとして統合すること(インテグレーション)を第一の目標としています。住友誠教授を中心として本年6月より導入された「がんゲノム院内検査」はその始まりであり、がんの遺伝子変異を調べ、それに基づいた治療を提供する体制を院内に構築しています。私自身が、がんの基礎研究とそれを臨床に橋渡しするトランスレーショナル研究を行ってきた経験を活かして、がんの早期診断、画期的治療そして全く新しい概念に基づく予防法の開発と実践をセンター全体で行っていきたいと思います。

② Information(情報):センターの重要な任務として、がんに関する正しい、そして最新の情報(インフォメーション)を社会、患者、医療関係者、学生に提供することがあります。正しい情報が伝達されることで、レベルの高いがん医療を実現することが可能となります。また、近年は情報科学(インフォーマティクス)が発達し、質の良いデータを集積し、それを機械学習させることで、創薬研究や治療選択を迅速かつ正確に行うことが可能になってきています。柔軟性のある若い医師や研究者や学生がこのような新しい知識や技術を身に付けて、がん研究・がん医療の現場で活躍できる体制を作りたいと思います。

③ International(国際性):がん研究・がん医療の成果はどれだけの患者を救うことが出来るかが全てであり、その観点から言えば我が国は欧米に決して遅れをとっているわけではありません。新型コロナウイルス感染がそうであったように、世界中が一体となってがんを撲滅するために協力しなければなりません。そのためには世界のがん研究・がん医療の一翼を担う存在になるという意気込みが必要です。センターのメンバーが常に世界を意識して研究や診療を行う環境づくりを推進し、がん医療研究センターに所属する全員のチームワークでこれらの社会使命を果たしたいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。

センターからの挨拶

センターからの挨拶

平成31年4月1日、藤田医科大学は「藤田医科大学がん医療研究センター:略称 藤田がんセンター(Fujita Cancer Center: FCC)」を開設いたしました。「がん研究」という言葉はややもすれば「患者さんを軽視している」イメージで誤解されがちですが、正しいがん医療は、がん研究の発展と進歩なくしては成り立たないものであり、「診療」と「研究」との融合により成立しているといっても過言ではありません。最近、「プレシジョンメディシン」という言葉をよく耳にいたします。ゲノム解析の技術革新により、患者さんの個人的なゲノム情報を実際の診療に応用する「ゲノム医療」の時代が現実に到来しようとしています。これらの成果は「がん研究」の進歩なしには語れないものであり、「患者さんのための研究」こそがん医療の屋台骨になっているのです。
藤田医科大学ではもとより、病院内に各診療科を通じた「がん診療」そして、大学内の基礎および臨床研究室を通じた「がん研究」が展開されております。「がん医療研究センター」は両者の基盤を維持しつつ、がん患者さん目線での「研究」と「診療」の相乗的融合(シナジー効果)を実現するために作られました。当がんセンターは、あらゆるがんに関わる研究と医療の専門家の力を合わせ、私立医科大学の長所を生かした総合がんセンターとして、がん研究の発展とともに、予防・診断・治療の領域すべてにおいて革新的ながん診療を目指してまいります。患者さんはもちろん、関係者の皆様の温かいご理解とますますのご支援をお願い申し上げます。

センター概要

我が国において、がんは、昭和56(1981)年より死因の第1位であり、平成27(2015)年には、年間約37万人が亡くなり、生涯のうちに、約2人に1人が罹患すると推計されています。がんは、国民の生命と健康にとって重大な問題であることはいうまでもありません。政府のがん対策として平成16年からは第3次対がん10ヶ年総合戦略が始まり、平成19年4月からはがん対策基本法が実施されています。
現在、全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、全国にがん診療連携拠点病院が400箇所以上指定されており、愛知県においても、藤田医科大学病院を含め、19カ所の病院が指定されております。一方で、平成30(2018)年3月16日に開催された「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」で、より質の高い、安全ながん医療提供体制を構築するために、がん診療連携拠点病院などの指定要件を見直すとともに、機能や診療実績などに応じて地域がん診療連携拠点病院を(A)優れた機能を持つ「中核拠点病院」(B)現行の拠点病院(C)要件を満たさなくなった「準拠点病院」に区分する、との方向性が示されました。
平成31年4月1日、藤田医科大学病院は、全国で14施設のみ、県内では唯一の「高度型がん診療連携拠点病院」に指定されることになりました。それに伴い、患者さんの立場に立った、総合的ながん診療を目指して「がん医療研究センター(FCC)」を開設する運びとなりました。
平成30年3月9日に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画では、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。」というスローガンを掲げ、▼科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実▼患者本位のがん医療の実現▼尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築—を目指す、との全体目標のもとで、がん医療の充実とこれを支える基盤の整理が提唱されています。こうした基盤整備においては、がん診療体制の充実はもちろん、研究、人材育成、教育、普及啓発といった活動にも重点をおかなければなりません。FCCは「藤田シナジープロジェクト」というスローガンのもと、以下の目標で総合的ががん診療を行うことを目標にしております。

① 豊富な診療実績に基づく治療戦略の実践
② 診療科バリアフリーな横断的診療
③ 臨床のための研究拠点の創設
④ 基礎研究と臨床の融合による相乗的(シナジー)効果の実現
⑤ 未来を引き寄せる新規治療法開発

スタッフ紹介

  • 岩田仲生(研究支援推進本部長、医学部長)
  • 佐谷秀行(FCCセンター長)
  • 住友誠(FCC副センター長、同臨床部門長)
  • 下野洋平(生化学教授)
  • 鈴木元(分子腫瘍学教授)
  • 村田貴之(ウイルス・寄生虫学教授)
  • 近藤征史(呼吸器内科学教授)
  • 廣岡芳樹(消化器内科学教授)
  • 藤井多久磨(産婦人科学教授)
  • 須田康一(総合消化器外科学教授)
  • 稲葉一樹(先端ロボット・内視鏡手術学教授)
  • 加藤悠太郎(先端ロボット・内視鏡手術学教授)
  • 塚本徹哉(病理診断学教授)
  • 松岡宏(総合消化器外科学教授)
  • 河田健司(臨床腫瘍科学教授)
  • 大宮直木(先端光学診療学教授)
  • 舩坂好平(消化管内科学講師)
  • 中島葉子(小児科学講師)
  • 全並賢二(腎泌尿器外科学講師)
  • 竹田真由(難治疾患細胞制御学講師)