藤田医科大学 腫瘍医学研究センター

研究

食道胃接合部腺癌と胃腺癌の違い(2194例の検討)

食道胃接合部腺癌(Gastroesophageal junction cancer: GEJC)と胃腺癌(Gastric cancer: GC)は、多くの臨床試験で同じ疾患として登録されており、その違いについては十分に検討されていませんでした。
藤田医科大学 医学部・先端ロボット・内視鏡手術学 中内雅也講師らの研究グループは、二つの疾患の臨床学的、腫瘍学的差異について検討を行いました。

方法

メモリアルスローンケタリングがんセンターにおいて、2000年から2016年までに手術を受けて根治切除となったGEJC及びGC症例を対象とし、臨床学的特徴及び疾患特異的生存率(Disease-specific survival rate: DSS)を後方視的に比較検討しました。

結果

2194例(GEJC 1060例、GC 1134例)を比較検討しました。
GEJC群はGC群と比較して若く(64歳 vs. 66歳、p<0.001)、より多くの症例で術前治療が行われていました(70.9% vs. 30.2%, p<0.001)。また、術後病理学的T因子及びN因子はGEJC群で低い傾向でした。
5年DSSはGEJC群で62.2%、GC群で74.6%と有意にGEJC群で低く(p<0.001)、臨床学的背景調整後もDSSはGEJC群で有意に低い傾向でした(ハザード比1.78: 95%信頼区間 1.40-2.26, p<0.001)。
再発率はGEJC群で約10%高く、GEJC群では初回再発として血行性転移が多い傾向でした(60.1% vs. 31.4%, p<0.001)。GC群は初回再発として腹膜播種が多くを占めました(52.9% vs. 12.5%, p<0.001)。

結論

GEJCはGCと比較して再発率が高く、DSSが低い、より悪性度の高い腫瘍であると考えられました。このような臨床学的差異や再発形式を中心とした腫瘍学的差異を明らかにすることは、両疾患においてより適切な治療戦略を立てることに役立つと考えられます。

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