藤田医科大学 がん医療研究センター

治験と臨床試験

治験とは

治験とは、開発された薬について、発売前に国の承認を得るために安全性や有効性を確認するために行う臨床試験のことです。
がんに対する治療薬は他のどの薬剤よりも多く開発がされています。新しい有効な薬剤がそれを必要とする患者さんに届けられることはとても重要なことですが、薬(特に坑がん薬)は多かれ少なかれ正常な細胞にも作用します。このため、新しい薬が開発されると数多くの細胞や動物実験が行われ、安全性と効果が一定以上担保された場合にその後ヒトに投与されます。実際には十分に安全性が担保された上での投与となりますが、ヒトに対して投与されたときには予期せぬ有害事象が出たり、十分な効果が得られなかったりする場合もあります。薬剤の開発から医療現場に至るまでは200分の1程度になるといわれています。 国が認める治療薬としての承認を得るために行われる試験を治験と呼びます。治験は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件を満足する病院だけが選ばれます。すなわちどこの病院でも受けられるわけではありません。治験では、参加された患者さんも細かく管理されます。すなわち血液検査を含む検査の回数、時間、併用薬の服用時間など制約が多いです。そのため、治験依頼者(多くは薬剤の開発販売者)により通院や検査に対して金銭的補助が出ることがあります。
自分に適応がある治験が行われているかどうかは主治医に聞いてください。

臨床試験とは

治験が薬剤の開発承認を目的とするものである一方、臨床試験とは人を対象とした「治療を兼ねた試験」を指しますが、新薬の開発を目的としたもの(治験)には限りません。既存の薬の効果を追跡調査したり、既存の薬を組み合わせた併用療法の効果と安全性を調査する、あるいは既存の薬の別の効能を調査・確認したりするなど、人に対して行う、治療を兼ねた試験の全てを指します。治験と比べて、参加しやすい、また、施行病院も治験のように国に指定された病院である必要はありません。

先進医療について

先進医療とは

「先進医療」とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術で、安全性や効果が確認されると、健康保険の適用が検討される治療法です。
私たち人間には、発病のメカニズムがわからない、ゆえに治療法も確立されていない難病がたくさんあります。また、治療法はある程度確立されていても、より身体への負担が軽い治療法の開発が待たれている病気もあります。こういった難病などの新しい診断・治療・手術といった最新の医療技術が研究・開発されることで、これまで診断や治療が難しかった病気の診断・治療ができるようになる、治療で受ける体への負担が軽くなり病気が治せるなどのメリットがたくさんあります。
なお、医療技術ごとに適応症(対象となる病気・ケガ・それらの症状)および実施医療機関が限定されています。これらは随時見直されるため、保険期間中に対象となる先進医療は変動します。先進医療の種類および実施医療機関名については厚生労働省のウェブサイトなどでご確認いただけます。
先進医療による療養を受けた場合、診察・検査・投薬・入院料などの一般治療と共通する部分には公的医療保険(健康保険)が適用されますが、先進医療の技術料は全額自己負担となります。

先進医療を受けるときは

先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、被保険者証(老人医療対象者は健康手帳も)を窓口に提出します。
先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。

① 説明を受けて納得の上で同意書署名
先進医療を受ける時は、治療内容や必要な費用などについて、医療機関より説明を受けます。説明内容について十分に納得したうえで、同意書に署名し、治療を受けることとなります。

② 領収書はたいせつに保管
先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する部分についての一部負担金、食事についての標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。

患者申出療養制度について

患者申出療養制度とは

患者申出療養とは、未承認薬などの先進的な医療を使用したいという患者の方からの申出を受けて、安全性・有効性などを確認したうえで、できる限り身近な医療機関で受けられるようにするための制度です。
日本は社会保障制度が整っていて、国民全員が健康保険に加入しているため、風邪などの通常の病気で通院する時に、自己負担額が少なくて済みます。がんなどの難病にかかっても、一定の金額までの負担で治療が行える高額療養費制度などがあり、安心して治療に専念できる環境があります。
一方で、外国ですでに一般的になっているがんなどの新薬の使用については、国の承認に時間がかかり、なかなか一般の人は利用できないというのが現状です。
これを解決する一助としてできたのが、2016年4月に始まった「患者申出療養制度」です。患者から国へ申請書を提出することによって、海外ですでに承認されている新薬などを日本に居ながら治療に使える可能性が出てくるという制度になります。

患者申出療養制度のメリット

たとえばがんの治療などで国内ではまだ承認されていない新薬を使用したいと思った場合、通常はその薬代・治療費が全額自己負担となるだけでなく、入院料や他の技術料などもすべて自己負担となります。日本では原則として「健康保険の範囲内の診療」と「健康保険の範囲を超えた診療」が同時に行われた場合、一連の診療の費用が「自由診療」として健康保険適用外となるためです。
しかし、患者申出療養としての承認を受けることができれば、「健康保険の範囲を超えた部分」自体は全額自己負担となりますが、「健康保険の範囲内の診療」については健康保険の適用となり、3割負担で受けることができます。これを「保険外併用療養」といいます。
「患者申出療養」と認められることによって通常の診療の部分についての自己負担額が軽減されるため、まだ健康保険の適用になっていない新しい薬や治療方法を受けたいという切実な想いを持った患者の方にとって、治療の選択肢が広がることが期待されています。

申請から治療開始までの流れ

まずは患者さんからの申し出に始まり、主治医と相談し、計画書の作成〜国での検討を経て治療の実施に至るというプロセスで進みます。

1.患者さんからの申し出
2.主治医と相談(主治医と十分に話し合う)
3.臨床研究中核病院で計画(申出を元にして中核病院と連携)
4.国の会議で検討(計画書を元に丁寧に検討)
5.患者申出療養の実施(計画書の受理から6週間以内に結論、実施)

実際に対象となるケース

患者申出療養を申出るのは以下のケースとなります。
● 治験、先進医療、患者申出療養のいずれも実施していない医療を実施してほしい場合
● 先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合
● 先進医療で実施しているが、自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
● すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合   など