ウイルス発がん機序の解明及び予防・治療法の開発
がんのうちおよそ15%が、ウイルスなどの感染が原因となって起こります(図1)。ヒトのがんの原因となるウイルスは現在、EBウイルス(図2)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス1型、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルスの7種類が知られています。ウイルスが原因となって起こるがんは、(i)ワクチン等でウイルス感染を予防する、あるいは一旦感染してしまっても、(ii)抗ウイルス薬等でウイルスを排除する、ことで予防することが可能です(図3)。このため、がんウイルス研究の意義は非常に大きいと考えられます。
我々は特に、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)、T/NK細胞リンパ腫、胃癌、上咽頭癌など多様ながんの原因となるEBウイルス、カポジ肉腫や原発性滲出性リンパ腫などの原因となるカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、肝がんの原因となるB型肝炎ウイルスについて、ウイルス複製機構の解析、がん化機構の解析、新規薬剤の開発などの研究を行っています。
文責 ウイルス・寄生虫学 教授 村田貴之
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